筋膜リリース

●筋膜の構造

筋膜の構造は、体表→浅筋膜→深筋膜となっています。
浅筋膜は、皮膚とその下にある深筋膜を結びつけています。
深筋膜は、骨格筋組織を包み込んでいます。

そして深筋膜は、さらに細かく3つの膜に分けられます。

・筋外膜

骨格筋を包み込んでいます。

・筋周膜

筋束を包み込んでいます。

・筋内膜

筋原線維を包み込んでいます。

●筋膜の特徴

筋膜は、コラーゲンを含む柔らかい組織です。
筋肉の使いすぎや、悪い姿勢が続くと、一部分に筋膜の成分が偏り、隣接している筋肉にくっついて硬くなってしまうことがあります。
このことを「筋膜の癒着」といいます。

筋膜が癒着すると、筋肉の動かしにくさや血行不良、老廃物質が流れにくくなるなどの不調を引き起こします。
このように筋肉だけでなく、周囲の血管やリンパ管、神経にまで影響が広がります。

●筋膜の役割

筋膜は、筋肉を包み込んでいる組織のことを指します。
筋線維1本1本の中にまで入り込んでおり、内臓の膜ともつながっています。
全身を包み込むように保護していることから「第二の骨格」ともいわれており、重要な役割を担っています。

・身体を安定させる働き

筋膜には、弾力性があります。
この弾力性が張力となって、身体を支えています。

・感覚を伝える働き

筋膜には、筋肉以上に感覚受容器が多くあるといわれています。
この感覚受容器が痛みや力、熱さ、冷たさなどを察知し、脳に伝達しています。

・動きを滑らかにする働き

筋膜には、粘度があります。
筋肉を動かす潤滑剤となって、滑らかな動きをサポートしています。

・老廃物を排出する働き

筋膜には、多くのリンパ管が存在しており、筋肉に溜まった老廃物を回収しています。

「リリース」には、解き放つという意味があります。
筋膜リリースとは、筋膜の癒着を剥がし、筋肉の拘縮を緩めることを目的とした施術です。
「筋膜はがし」ともいわれています。

当院では、手技によって押圧をかけながら関節を動かしていきます。
筋肉の柔軟性が高まると、関節の可動域が改善し、身体の動かしにくさが改善されやすくなります。
また、手技以外にも「マイクロカレント」という微弱な電流が発生する機器を使ってアプローチすることもあります。

筋膜リリースには、次のような効果が期待されます。

●肩こりが改善する

肩こりは筋肉の硬さに原因があるといわれていますが、前腕の筋膜の癒着が影響を及ぼしている場合があります。
肩こりとの関係が深い僧帽筋の膜が、前腕の筋肉の膜とつながっているためです。
筋膜リリースによって前腕の筋膜の癒着が解消されると、前腕の方に引っ張られていた僧帽筋の筋膜が本来の位置に戻り、肩こりの改善が期待できます。

●痛みが緩和する

筋膜が癒着してしまうと、筋肉を動かす潤滑剤の役割が機能しなくなるため、身体を動かすと組織同士が擦れ、痛みが現れることがあります。
筋膜リリースによって癒着を解消することで、組織の擦れが改善され、痛みの緩和が期待できます。

●身体が動かしやすくなる

筋膜リリースによって、筋膜の滑りが良くなると、身体の動きも滑らかになります。
関節の可動域が改善されるため、運動パフォーマンスの向上も期待できます。

●身体の張りが改善する

筋膜が硬くなってしまうと、周辺の皮膚や筋肉もこるようになります。
筋膜は、一部の筋膜が硬くなっただけでも他の部分にも波及し、身体の張りを招きます。
筋膜リリースを行うことで、原因となっている筋膜の硬さが改善されるため、身体の張りの改善も期待できます。

●血行が促進される

筋膜が癒着してしまうと、筋肉も硬くなり、血液やリンパの流れが滞ってしまいます。
筋膜調整によって癒着が解消されると、硬くなっていた筋肉がほぐれることにより、血行の改善も期待できます。

●ケガが予防できる

筋膜は「第二の骨格」とも呼ばれている組織です。
筋膜が正常化することで、身体を安定化させる働きが回復し、ケガの予防につながります。
また、血行が促進されることで、筋肉の隅々にまで酸素や栄養素が行き渡り、ケガの回復も早まるといわれています。